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家造りのはじまり ~木材を探して氷見の山里巡り~
by 草島すなお
2000年3月に植栽したスギ
2003年(平成15年)になり、住宅金利も上昇の兆しが見えてきた中で、資金の目途が立ち、自身も時間的余裕があったので、いよいよ家づくりに動きだすことにした。
家づくりで最も私がこだわったのは、「中田さんの木」だ。中田さんには、木の提供について以前から折に触れお願いしていたので、話を持ちかけると、「好きな木をもっていっていいよ。」と快く承諾してもらった。
設計・施工については、とやまの木で家をつくる会の設立当初からのメンバーで、家づくりに対する考え方に共感できる青山建築・計画事務所に設計を、正保工務店には施工を依頼した。
正保工務店の作業場は中田さんの山からわずか2km、製材所もその山と作業所の間に位置しており、これらは家づくりにとって最高の立地条件にあった。
青山さんと正保さんは、設計事務所と工務店というそれぞれの立場の違いからたびたび熱い議論を戦わすことがあったが、私としては、そういったオープンな議論の中から様々な真実を知る事ができ、自分の家づくりに大いに参考になった。
製材所の田組さんは、木の伐採・搬出も兼業されており、中田さんとは長年の名コンビで、今回の家づくりにとっては欠かせない存在となった。
5月頃から設計に取りかかり、設計図及び木拾い表がほぼ完成した10月4日、伐採する木に印を付けるため、正保さんと一緒に中田さんの山を訪ねた。これまで何度も訪れ、既に熟知しているこの山の林道を歩く私、その後からついてくる中田さん。何となくいつもと勝手は違っていたが、いまさら説明することなどなく、「ほしい木はなんでも分けてあげるよ。」といった感じだった。
私がずうずうしく、「あそこの柱用に仕立て上げたカワイダニスギ(※)を頂いてもいいですか?」と聞く。「(孫が建てる家の柱用に植え、育ててきたが、)『孫が家を建てない。』と言うとるし、どれだけでも持っていっていいよ。」と中田さん。「通し柱を10本ぐらいほしいのですが・・・」と訪ねると、「そしたら、あそこのタテヤマスギがちょうどいいよ。」と予想通りの答えが返ってくる。「マスヤマスギの間伐材もいただけますか。」「いいよ。」こんな話をしながら山道を歩く。「この(大きなアテの)木も使っていいよ。」のありがたい提案に「本当にいいんですか?」と私。最後に、この山一番のお目当ての木、100年生以上になる大きな地スギの話。りっぱな地スギを見上げながら、「この木すばらしいですね。何年生ぐらいですかね?」と物欲しげな私の気持ちを察してくれた中田さんは、「私のおじいさんが植えた木でね。何年経っとるかな。もし、必要ならこれも持って行っていいよ。」「ありがとうございます!!」
こんなやりとりをしながら、この日商談が成立した(といっても値段は全く決まっていないのだが)木は、以下の通りであった。なお、クサアテは大きな地スギを伐採・搬出するために障害となったため伐ってもらったが、この木のすばらしさが後々分かることになる。
中田さんから購入した木材
| 樹種 | 数量(m3) | 備 考 |
| 地スギ | 4.92 | 約120年生(胸高直径66cm)1本/約100年生(胸高直径62cm)1本 |
| 立山スギ(通し柱用) | 1.82 | 35年生(胸高直径28cm程度)7本 |
| カワイダニスギ(柱用) | 6.24 | 30年生(胸高直径24cm程度)24本 |
| アテ | 3.43 | カナアテ(約100年生)3本/クサアテ 3本 |
| マスヤマスギ(間伐材) | 3.12 | 12本 |
| 合 計 | 19.53 | 51本 |
※様々なスギについては、次回に詳しく解説します。
道具を担ぐ中田さん
薪を作る中田さん
商談成立後、中田さんのお宅には御膳の用意がされていた。何気なく立ち寄った私たちに対する過分なもてなしは、木を買ってくれるお客さんへの感謝の気持ちを表わした、昔気質の中田さんらしいけじめの付け方だったのだろうか。
私は、仕事を通じて、氷見の山里で暮らす様々な人々と知り合うことができたが、今回の家づくりに際して、こうした人達からも様々な木を分けていただいた。
・岡峰正憲さん(久目林業倶楽部会長)
高等学校の英語教師を定年前に退職し、山にどっぷり漬かった生活を楽しもうとしていたところに、地元の山の間伐を推進するための組織を作る話が持ち上がり、久目林業倶楽部の誕生に参画した。当倶楽部では、退職後の第2、第3の人生を有意義なものにしようと、元気のある方々がはつらつと森林整備に勤しんでおられるが、岡峰さんは当倶楽部の会長として、倶楽部員のまとめ役となっておられる。
岡峰さん宅の裏山には30年生ぐらいのりっぱな桐の木が数十本立っているが、これ
は岡峰さんのお父さんが種をわざわざ福島県から取り寄せられて育てられたもので、こ
れらの中から、今回、4本分けてもらい、建具や家具に使わせてもらうことになった。ち
なみに、久目林業倶楽部が間伐したスギの間伐材も柱ぐらいの太さの屋根タルキとなっ
て、家を支える重要な骨組みとしてその役目を果たしてくれている。
・高峰和也さん
スギの間伐、枝打ち、伐採・搬出や庭木の伐採など森林や木に関わる作業は何でもこな
す、山と木の達人である。ご自身も手入れの行き届いた森林を持っておられるが、地元一丸となって森林整備を進めるまとめ役でもある。
高峰さんは、これまで仕事柄、立派な大木に巡り会う機会がたびたびあったらしいが、約10年前に伐採した山桜もそうで、板に挽いて寝かさてあったものを分けてくださった。(これは、ダイニングテーブルに生まれ変わった。)
こうして、家造りに使う要の木がほぼ出そろい、いよいよ、一週間後は中田さんの山の木の伐採だ。 杉林間伐前 中田さんの山 木登る中田さん
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